平行調と同主調という概念について解説します。これらはそれぞれ近い関係の調(近親調)なので、スムーズな転調を行うことが出来ます。転調には欠かせない概念なので、押さえておきましょう。
平行調
平行調は、#/bの調号が付くことなくルート音の短3度下がルート音になって、並び替えた調です。つまりドレミファソラシで構成されるCメジャーキーの場合、ラシドレミファソが平行調となり、これはAマイナーキーになります。
逆にAマイナーキーから見た平行調は短3度上がルートのCメジャーキーになります。
調号が変わらないので、感覚的にはいわゆる「転調」とは感じにくいと思います。逆に言えば限りなくスムーズとも言えます。
例えばCメジャーキーの楽曲でAメロではCから始まり、BメロでAmから始まる場合、Bメロになると暗い感じになります。これが平行調へ転調です。
ただCメジャーキーの中でCの代理としてダイアトニックコードのAmが出てきただけと考えることも出来ますし、これが転調と言えるかは非常に曖昧なところです。理論的に細かく見ると平行調への転調とも言えるだけで、Cメジャーキーのままと考えても問題ないです。
これから平行調を勉強される方には少し分かりにくいかもしれませんね。
同主調
同主調は、ルート音が同じでメジャーキーをマイナーキーに変えたもの、またはその逆の関係です。
調号が変わるので、サウンドを鳴らすと平行調とは違って明確にキーが異なっていると感じると思います。
ここでは深く解説しませんが、同主調からコードを借りてきてセカンダリードミナントのような感じで一時的に転調する手法が頻繁に使用されます。
平行調の同主調・同主調の平行調
平行調と同主調を組み合わせて考えて、そのキーへ転調することもよくあります。
Cメジャーキーの平行調はAマイナーキーで、Aマイナーキーの同主調はAメジャーキーとなりますので、Cメジャーキーの平行調の同主調はAメジャーキーになります。
Cメジャーキーの同主調がCマイナーキーで、Cマイナーキーの平行調はEbメジャーキーとなりますので、Cメジャーキーの同主調の平行調はEbメジャーキーになります。
下属調・属調
平行調・同主調の解説からは少し脱線しますが、これらと同様下属調・属調も近親調とされ、スムーズな転調が出来ます。
下属調の下属というのはスリーコードで解説しましたサブドミナントのことです。つまり下属調というは、Cメジャーキーから見たFメジャーキーのことです。
属調の属はドミナントのことです。つまりCメジャーキーから見たGメジャーキーのことです。
関係性が高い根拠
調号を見てみると、どちらのキーも1つだけということが分かります。転調しても元の調(主調)と違う音が1つだけなので、自然に転調することが出来ます。
同主調は3つですが、重要なルート音が同じ音程です。6度や7度が半音上がるハーモニックマイナーやメロディックマイナーで考えると主調と異なる音は1つ、または2つになります。
平行調はそもそも調号が変わりません。
近親調以外の調は一まとめに遠隔調と呼ばれます。