スリーコードは、ダイアトニックコードの中に含まれる機能上主要な3つのコードです。和名では主要三和音と呼びます。1つ目と4つ目と5つ目のコードがそれに当たります。

スリーコード

ダイアトニックコードの解説では、スケールに3度を重ねることでメジャー、マイナー、ディミニッシュの3種類のコードが出来ました。しかしスリーコードはこの概念とは別物です。

メジャーやマイナーといった種類は、音の積み重ね方によって決定され、それぞれコードの響きが異なります。コードそのものがどんな響きのものか分類するためのものとも言えます。

スリーコードは調性上において役割を持つコードです。どれもメジャーコードですが、あるキー(調)の中で、それぞれの役割は全く異なります。それぞれトニック、サブドミナント、ドミナントという役割があります。T、SD、Dと略して表記されることもあります。

トニック

トニック(主和音)はとても安定感があるコードです。安定感があるため、曲の最後をトニックで終わると終止感が得られます。また、このトニックにより楽曲の調性が示されます。

分かりやすく例えると、これから走り出す前にゆったりリラックスしている感じです。また、後のドミナントでジャンプして着地した状態です。

サブドミナント

サブドミナント(下属和音)は、トニックよりは不安定だけれども、次のドミナントよりは安定しているといった、中途半端?なコードです。トニックだけしか出てこないと単調で退屈ですが、サブドミナントが加わることで楽曲に拡がりを持たせることが出来ます。トニックにもドミナントにも進行することが出来、それぞれの橋渡し的な役割を持ちます。

リラックスしていた状態から走り出した感じです。

ドミナント

ドミナント(属和音)は不安定なコードです。サブドミナント同様に拡がりを持たせますが、トニックに進行して落ち着こうとする性質があります。

走っていた状態から大きくジャンプをした感じです。

トライトーン

これまで3つの音で構成される三和音で解説して来ましたが、もう3度重ねて四和音にすることでセブンスコードが出来ます。ドミナントコードを四和音にしてドミナントセブンスコードにすると、非常に不安定になり、より一層トニックに進行したい意識が強くなります。

これには理論的な理由があって、トライトーンと呼ばれる増4度/減5度の度数関係が含まれているからです。トライトーンは和名で三全音と呼ばれます。その名の通り、全音が3つ分なので三全音です。

トライトーン

CメジャーキーのドミナントであるG7の場合、シとファがトライトーンです。シの音は半音上のドの音に進行したい性質があり、ファの音は半音下のミの音に進行したい性質があります。また、この進行結果を解決と呼びます。

これらのような何処かに解決するための音を限定進行音と呼びます。特にシの音は導音と呼ばれ、とても大事です。

ちなみに減5度はディミニッシュコードの解説でも出てきましたが、これもトライトーンです。

ドミナントモーション

ドミナントからトニックへ進行し解決することを、ドミナントモーションと呼びます。

このトニックへ進行したい性質を根拠に、ドミナントモーションが様々なところで使用され、楽曲をより豊かにすることが出来ます。