ダイアトニックコードは、楽曲を構成するコード(和音)の中で大きな割合を占め、屋台骨とも言えます。とりあえずダイアトニックコードを覚えるだけで、自然なコードの流れを作ることが出来ます。作曲編曲に役立つ基礎的な知識になります。そんなコードの基本となるダイアトニックコードを解説していきます。

そもそもコードとは?

ある音程に違う音程を積み重ねたものをコードと呼びます。例えばCだったらドミソといった具合です。基本的に、1音飛ばしで積み重ねます。ド(レ)ミ(ファ)ソといった感じで、レとファが抜けていますよね。

この3つの音によるコードをトライアドと呼びます。また、一番下の基本となるドの音はルート(根音)と呼びます。

この1音1音の距離(インターバル)を音楽理論では「度」という単位で表します。下の画像は3度を順に積み重ねたものになります。

コードとは?

何故3度ずつ積み重ねるのかは、とりあえずはあまり深く考えず、そういうものだと割り切った方が良いでしょう。これがクラシックから始まった西洋音楽の基本で、この法則があるからこそ普段私たちがよく耳にする調性音楽というものが成り立っており、そのことだけ知っていれば問題ないと思います。

ダイアトニックコード

ドレミファソラシドで構成されるCメジャースケールは、音楽に詳しくない方でも知っているくらい有名なスケール(音階)だと思います。この1音1音それぞれに3度を重ねて出来た7つのコードをダイアトニックコードと呼びます。

ここではメジャースケールを元にしたダイアトニックコードで解説してますが、マイナーもあり、正確にはあるスケールに3度を重ねたものがダイアトニックコードになります。

ダイアトニックコード

どんなコードかを表すコードネームを表記しましたが、ご覧の通り7つのコードは3つの種類に分けられます。

メジャーコード

Cメジャーコード

最初のC、4つ目のF、5つ目のGには何も付いておらず、一文字だけです。これをメジャーコードと呼びます。

ちなみに、CとかFとかといった表記は英語の音名で、先程の画像を見て分かるかもしれませんがド(C)レ(D)ミ(E)ファ(F)ソ(G)ラ(A)シ(B)となっています。一般的にこの英語の表記が使われるので、覚えて慣れましょう。

このメジャーコードの成り立ちは、半音を0.5とした時、それぞれの3度は2と1.5の距離で成り立っています。(つまり、ド=0、ド#=0.5、レ=1、レ#=1.5、ミ=2 と ミ=0、ファ=0.5、ファ#=1、ソ=1.5)

これまで単純に「3度」と書いてきましたが、先程の画像にもあるように実は3度には2種類あって、上記の距離が2だと長3度(メジャーサード)、1.5が短3度(マイナーサード)にあたります。言い換えれば、メジャーコードは長3度と短3度を重ねたものと言えます。

この真ん中の長3度が非常に重要で、これがあることにより響きが明るくなり、メジャーコードの明るさはこの長3度が決定付けています。

マイナーコード

Cマイナーコード

2つ目のDm、3つ目のEm、6つ目のAmには小文字のmが付与され、これらはマイナーコードと呼びます。

それではマイナーコードはどのように成り立っているかと言うと、それぞれの3度の距離が1.5と2、つまり度数的には短3度と長3度を重ねた構成になっています。先程のメジャーコードとは逆ですね。

メジャーコードと同様、真ん中の短3度が非常に重要で、これがあるからマイナーコードは暗い響きになります。

ディミニッシュコード

Cディミニッシュコード

最後、仲間はずれのように1つだけあるディミニッシュコードです。7つ目のBdimですね。

これは1.5と1.5の距離、短3度と短3度を重ねた構成です。

先程のマイナーコードと同様短3度を含んでいるため暗い響きですが、ディミニッシュは更にキツい響きです。いわゆる不協和音です。

これまでの解説のルートと一番上の音(トップノート)は5度の関係になっています。メジャーコードとマイナーコードは完全5度(半音0.5で数えると3.5)といった、非常に透き通った、まるでルートの響きを太くしたかのような響きになります。しかしディミニッシュの5度は減5度(半音0.5で数えると3)と言って完全5度から半音下げた形になりますので、透き通っていた響きから大きく崩れ、大変不安定な響きになります。

マイナーフラットファイブについて

本記事ではディミニッシュとして解説していますが、マイナーフラットファイブ(m(b5))と解釈しても問題ありません。この場合、マイナーコードの完全5度の音をフラットさせるので、(b5)という記号が付与されます。音の構成はディミニッシュと同じで表記の仕方だけ違います。

親和性の高さと単調さ

曲にはキー(調)というものがあり、曲中でそれが変わる転調といった言葉を聞いたことがあると思います。ダイアトニックコードは、先の例ならCメジャースケールを元に出来ているので、適当に繋げてみても自然に感じるのは、Cメジャーキーから外れずCメジャーキーの中で動いており、極端な動きがないからなんですね。

もし仮にコード先行でコード進行から作った場合、自然にメロディを作ればCメジャースケール上の音を元にしたものが出来上がります。それぞれのダイアトニックコードは親和性が大変高いのです。

しかしダイアトニックコードのみで出来ている曲しか作れない場合、それは面白みに欠け、単調とも言えます。だけどこれが屋台骨となり様々な理論的解釈で幅を広げていくので、作曲してコード進行を考えていく上ではじめの一歩と言えます。

ダイアトニックコードの一覧表

メジャーキーにおけるダイアトニックコードの一覧表です。キー毎に表にすると以下のようになります。ここでは深く説明しませんが、IやIImという記号はディグリー表記といい、度数を表します。

Key I IIm IIIm IV V VIm VIIdim
C C Dm Em F G Am Bdim
Db Db Ebm Fm Gb Ab Bbm Cdim
D D Em F#m G A Bm C#dim
Eb Eb Fm Gm Ab Bb Cm Ddim
E E F#m G#m A B C#m D#dim
F F Gm Am Bb C Dm Edim
Gb Gb Abm Bbm Cb Db Ebm Fdim
G G Am Bm C D Em F#dim
Ab Ab Bbm Cm Db Eb Fm Gdim
A A Bm C#m D E F#m G#dim
Bb Bb Cm Dm Eb F Gm Adim
B B C#m D#m E F# G#m A#dim