スリーコードの解説で、CメジャーキーにおけるダイアトニックコードのCとFとGは、調性上の役割があることを解説しました。それではそれ以外のダイアトニックコードにはどんな役割があるの?と疑問に思った方もいるかもしれません。
それらは代理コードという形で使用することが出来ます。副三和音とも呼ばれます。代理というけど、それは一体何を代理しているのでしょうか?代理コードとは一体何なのかを解説していきます。
代理コードの概念
構成音が似ているコードは、サウンドが似ているので元のコードの代理として(代用して)使えますよ、といった概念です。
以下の五線譜をご覧ください。構成音が似ている、という概念の性質上、構成音が多い四和音の方が分かりやすいため、そちらで解説します。
CM7とAm7は4つの構成音の内、ドとミとソの3つが同じです。
メジャーコードとマイナーコードなので、明るい・暗いといった響きの違いはありますが、4つの内3つも構成音が同じなので、同じような役割を果たします。つまり、Am7はCM7の代理として、トニックとしての役割を果たします。
余談になりますが、CM7とAm7を合成すると、Am9というコードになります。
ダイアトニックコードにおける代理
前項の概念でダイアトニックコードをコード機能毎に分類すると、以下のようになります。
それぞれDm7はFM7の代理、Em7はCM7の代理、Am7はCM7の代理、Bm7-5はG7の代理となります。
例えば「CM7 – CM7 – FM7 – G7」というようなコード進行があったとします。この場合、「CM7 – Am7 – FM7 – G7」や「CM7 – Am7 – Dm7 – G7」といったコード進行に置き換えることが出来るということになります。
同一構成音が2つの場合
それでは四和音の内、構成音が2つ同じだった場合は代理コードとして使用出来るのでしょうか?
これはケースバイケースと言えます。半分は同じなので、そこをどのように評価するかといった感じで、実際に鳴らしてみて代理として使えそうか判断してみてください。
ただし、その2つがコードの成り立ち上重要な役割を果たしているのであれば、十分代理として扱えて、説得力もあると思います。1度と3度の組み合わせやトライトーンなどです。
例えばG7とDb7を比較すると、以下のようになります。
この2つの和音で同じ音はシとファの2つです。ピンときた方もいるかもしれませんが、この2つはトライトーンです。なので、G7の代わりとしてDb7をドミナントとして使用することが出来ます。
ちなみに、このDb7は通称「裏コード」と呼ばれています。何れこちらについても解説していきます。
例外
例えばCとCmは3つの構成音の内、ドとソの2つが同じ音です。じゃあCの代理としてCmを使えるかと言うと、代理とは言い難いです。
Cの代わりにCmに置き換えても、キーから外れ転調した感じになります。つまりCmはCメジャーキーのトニックとしての役割を果たしていないことになります。
ただし、例えば「G7 – C」となるところを「G7 – Cm」としてCマイナーキーへ転調する場合、一見代理しているように見える場合もあると思います。ですがこのCmはCの代理ではなく、またCメジャーキーのトニックとしての役割でもなく、Cマイナーキーのトニックになります。
コード機能別一覧表
ダイアトニックコードをコード機能別に一覧表にすると、以下のようになります。
コード機能 | スリーコード | 代理コード | |
---|---|---|---|
T | IM7 | IIIm7 | VIm7 |
SD | IVM7 | IIm7 | |
D | V7 | VIIm7-5 |